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2023年1月8日 2023年 本郷台キリスト教会の取り組み(1)

2023年1月8日 2023年 本郷台キリスト教会の取り組み(1)
イザヤ書 61章1節 池田恵賜 主任牧師

昨年末にコロナに感染してしまい、ご心配おかけしました。12/18のクリスマス特別礼拝が終わり、週末のイブ礼拝のメッセージ準備をしていたときに熱が上がってきたような感じがあって、体温を測ると37.6度あり、そのまま準備を切り上げて自宅に戻りました。その晩から熱が上がり、翌日抗原検査をしたら陽性で、10日間の隔離生活となりました。

急遽、イブ礼拝のメッセージを月井先生に代わっていただき、元日礼拝もまだ体調が万全でないことから佐藤先生に代わってもらいました。先日、隔離期間が明け10日振りに牧師室に戻ると、イブ礼拝のメッセージ準備の資料が広がったままでした。

2022年のイブ礼拝、2023年の元日礼拝と節目の礼拝奉仕が抜けてしまい、未だに一人だけ2022年のゴールも2023年のスタートも切れていないような感じがしています。療養期間中、多くの方に助けていただき、またとりなしの祈りをしていただき、心から感謝します。ありがとうございました。

振り返ってみると、私にとって2022年は五十肩で何ヶ月も右腕が上がらなくなり、夏には人生初の骨折を経験し、年末にはコロナ感染、と肉体的な弱さを覚える年でした。「誰かの助けを借りなければ生活できない」そんな経験をした一年でした。それまでどちらかと言うと助ける側に回ることが多かったので、助けられる人の気持ちを体験できたことは、私にとって新しい経験となりました。

隔離期間中、主は同じように弱さの中にいる人たちへの思いを与えてくださり、その方々のためにとりなし祈るときを持たせてくださいました。弱さの中にいるときでも、主は私に語りかけてくださり、とりなし祈るという使命を与えてくださいました。自分が前面に出なくても、とりなし祈ることで、神様のご計画は進められていくということを改めて確認させられ、自分は責任者で休めないというプレッシャーからも少し解放されたように思います。

さて今年、神様が教会に語ってくださったみことばはイザヤ61:1aです。皆さんで一緒に読んでみましょう。

【神】である主の霊がわたしの上にある。貧しい人に良い知らせを伝えるため、心の傷ついた者を癒やすため、【主】はわたしに油を注ぎ、わたしを遣わされた。”イザヤ61:1a

このみことばの背景となる解説は「毎日のみことば」1月号の巻頭言に書かせていただきましたので、そちらをご覧ください。1月号は希望者全員に無料でプレゼントしています。

1. 私たちの遣わされるところ

今日は、この「わたしを遣わされた」という部分に焦点を当てて見ていきましょう。私たち一人一人は神様によって遣わされているのです。どこに遣わされているのでしょうか。今年のみことばによると、心の傷ついた人のところ、貧しい人たちのところに遣わされているのです。現代風に言い換えると、不安や悲しみ、生きづらさを抱えている人たちのところに遣わされていると言うことができるでしょう。

つまり、神様は私たちを「問題のあるところへ遣わす」と言っておられるのです。誰でも問題があると分かっているところへ行くのは躊躇するでしょう。火中の栗は拾いたくないものです。

神様が「問題のあるところに私たちを遣わす」というのは、なにも私たちを困らせてやろうとか、あのとき神様に従わなかったから苦しみを与えてやろうということではないのです。神様が私たちを遣わすのは、そこにある問題を解決し、神のご計画を成し遂げようとしておられるからなのです。

2. 神の語りかけを聴く

私たちが遣わされるというとき大切なのは、それが「神から出ていることかどうか」ということです。それを判断するため、私たちは「神の語りかけを聞く」必要があります。なぜなら神様はご自身がしようとすることを予め人に告げられるからです。アモス3:7にこうあります。

まことに、【神】である主は、ご自分の計画を、そのしもべである預言者たちに示さずには、何事もなさらない。”アモス3:7

神様はご自身の計画を神のしもべたちに知らせ、その計画の中でその人を用いようとされるのです。少し具体的に見てみましょう。創世記18:17-19です。

【主】はこう考えられた。「わたしは、自分がしようとしていることを、アブラハムに隠しておくべきだろうか。アブラハムは必ず、強く大いなる国民となり、地のすべての国民は彼によって祝福される。わたしがアブラハムを選び出したのは、彼がその子どもたちと後の家族に命じて、彼らが【主】の道を守り、正義と公正を行うようになるためであり、それによって、【主】がアブラハムについて約束したことを彼の上に成就するためだ。」”創世記18:17-19

ここはソドムとゴモラという町の罪が大きくなったため、神様が「この町を滅ぼす」と言われたときの記事です。神様はその計画をアブラハムに語り、その結果アブラハムはとりなしの祈りに導かれ、ロトと二人の娘が助け出されたのです。ここに書かれているように、神様はご自分のしようとすることを予めアブラハムに語られたのです。アモス的に言うなら「神のしもべである預言者アブラハムに、ご自分の計画を示された」のです。

さて、ここを新約の視点から見ると、もう少し別の解釈を加えることができます。ヨハネ15:15で、イエス様が弟子たちに語られたこの言葉に注目してみましょう。

わたしはもう、あなたがたをしもべとは呼びません。しもべなら主人が何をするのか知らないからです。わたしはあなたがたを友と呼びました。父から聞いたことをすべて、あなたがたには知らせたからです。”ヨハネ15:15

イエス様は、ご自分が「十字架で死んで3日後によみがえる」というご計画を弟子たちに話されました。それは、イエス様と弟子たちが「主人としもべ」の関係ではなく、「友だち」だからというのです。しかも、ただの友だちではありません。何一つ隠し事なく、心を開いてなんでも話すことのできる大親友です。どうですか。イエス様はあなたを大親友と呼んでくださっています。あなたとイエス様の関係は「大親友」と呼べるものでしょうか?

イエス様は十二弟子だけでなく、イエス様に従うすべての者を「友」と呼び、神のなさろうとすることを知らせてくださるのです。実は旧約聖書でアブラハムも「神の友」と呼ばれています。イザヤ41:8です。

だがイスラエルよ、あなたはわたしのしもべ。わたしが選んだヤコブよ、あなたは、わたしの友アブラハムの裔だ。”イザヤ41:8

アブラハムも、そして信仰によってアブラハムの子孫となった私たちも、神様は「友」として扱い、神のご計画の一部に加えてくださいます。そして、私たちに予め神の計画を語ってくださるのです。ですから、神に遣わされる者は神の語りかけに耳を傾ける必要があるのです。そして神の語りかけを受けたならば、私たちは安心して「問題のあるところ」へも遣わされていくことができるのです。

3. 神によって砕かれる

神に遣わされる者にとって神の語りかけを聞くことに加えて、もう一つ大切なことは「神に砕かれる」ということです。そのことも見ておきましょう。先ほどのイザヤ41:8に名前が出てきたヤコブは、アブラハムの孫にあたる人物です。アブラハムに示された祝福の約束は、その子イサクを経て、イサクの子ヤコブを通して完成しました。この祝福の約束が完成したとき、その証拠としてヤコブは「イスラエル」と名前を変えられました。しかしイスラエルと呼ばれる前にヤコブは神と格闘して、神によってもものつがいを打たれ、「神に砕かれる」という経験をしたのです。これはヤコブの自我が神によって砕かれたことを表しています。人は誰でも自分の力ではどうにもできない自我を抱えています。自我、それは私たちの内側にある神様以上になっている考えや願い、生き方です。神が用いる人は、神に100%信頼して従える人でなければいけません。そのために自我は神によって砕かれる必要があるのです。

昨年、本郷台にFCBC前主任牧師のローレンス・コング先生が来られてメッセージをしてくださいました。かつて先生は、1600人を集めるシンガポールで一番大きなバプテスト教会を牧会していました。しかし、聖霊体験をした先生は、結果的にそのことがきっかけで、その教会を分裂させてしまったのです。そのことはシンガポール中の教会に知れ渡り、先生は大教会にまで成長した教会を分裂させた牧師として知られるようになり、大きな挫折を体験したのです。しかし、神様の祝福のみわざはそこから始まりました。神様は打ちひしがれるローレンス先生に光を当て、声をかけます。そして、先生の内にあった他の教会の先生に対する妬みや嫉妬の思いを悔い改めるように促します。神様の前でそのことを悔い改めた先生は、その足で当時のシンガポールの7つの大教会といわれる教会の先生のところに行き、自分の内にあったプライドや妬みの思いを告白し、謝罪しました。そこから教団教派を超えてシンガポールの国の祝福のために牧師たちが一致して祈る「ラブシンガポール」の働きがスタートしたのです。ローレンス先生から悔い改めと謝罪を受けた先生方は、翌年それぞれ別の7人の牧師に声をかけ、教会の悔い改めと一致の運動は広がっていきました。この働きがシンガポールのリバイバルに繋がっていったのです。

そして、その発端として用いられたのは教会を分裂させてしまった一人の牧師の悔い改めだったのです。神様にとって必要なのは、神の声に聞き従うことのできる「砕かれた器」なのです。

4. 「10×10ビジョン」

さて2023年は10×10ビジョン実現の前年です。ここで10×10を通して神様が語りかけてくださったことを振り返って、分かち合っておきたいと思います。10×10ビジョン自体の証しは、昨年5月15日の礼拝で詳しく語りましたので、まだ聞いておられない方はホームページからそちらのメッセージもお聴きください。

10×10ビジョンは、2013年11月に出席したアメリカでのスポーツミニストリーの国際会議で与えられたビジョンです。その2ヶ月前の9月に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定して世界中の目が日本に注がれている時期でもありました。すでに2019年のラグビーW杯の日本開催が決定していて、2019年、20年と連続して世界規模のスポーツのビッグイベントが開かれるということで、たくさんのスポーツ宣教団体からの問い合わせがありました。私自身もこれをきっかけに日本でのスポーツミニストリーが前進するように、そしてこれを起爆剤に日本にリバイバルが起こるように願っていました。まだ「スポーツミニストリー」という言葉も聞いたことがない牧師先生が多い中でしたが、さっそく日本各地を回ってスポーツミニストリーをアピールしました。関心を持ってくださる先生方もいて、私の関わっていたスポーツミニストリー団体ジスプのネットワークも徐々に広がっていきました。

しかし、ある時期からあまり進展がなくなりました。毎月のミーティングも毎回メンバーがそろわず空回りしているような感じでした。さらに考えの違いからジスプの中にも分裂が生じて、離れていく先生たちも出てきてしまいました。なかなか思うように進まず気落ちしていたとき、シンガポールのフェイスコミュニティバプテスト教会(FCBC)のカレブ先生と再会しました。FCBCの副牧師であったカレブ先生とは、本郷台キリスト教会が1990年代にシンガポールにセルチャーチを学びに行っていたときに出会っていました。その頃は舞台に立ってセルチャーチの国際大会を仕切る先生を会場から見ていた程度でしたが、2018年に行われた熊本地震の支援活動の集会のときに、近くに座っておられたのでビックリして声をかけ、少しお話しさせてもらいました。すると先生は、いまは日本に宣教師として来ておられ、仙台と横浜で教会を開拓しているとのことでした。

「なぜFCBCの牧師をしていたのに、日本に来たのですか」と聞くと、先生はこんな話をされました。1999年に宣教担当牧師としてカザフスタンに宣教チームを連れて行ったときに、現地で出会ったドイツ人宣教師と交わる機会があったそうです。そこで祈ってもらったときに、彼は幻を見たと言って、その幻を分かち合ってくれたそうです。彼は「カレブ先生、あなたの右手には日本の旗が握られています。そして左手にはオリンピックの聖火が握られています。そして、その聖火が日本の旗を燃やしています」というのです。

その時から日本への思いが与えられた先生は、宣教旅行から帰って日本のための祈り会に参加するようになりました。そして2011年3月11日、東日本大震災による津波の映像をテレビで見たときに、神様から「この映像を自宅のリビングで見ているときではない」との語りかけを受けて日本に行くことを決意、主任牧師に話し、数日後には日本行きの飛行機に乗っていたというのです。

私はFCBCで副牧師だった先生が、自分の立場を捨てて日本に来てくださったことにも感動しましたが、まさかここでオリンピックの話を聞くとは思わなかったのでビックリしました。しかも、その幻が与えられたのは1999年です。20年後に日本でオリンピックが開催されるなんて世界中の誰も分からないような時期です。「神様は既にその時からご計画をお持ちだったのだ、オリンピックを含めて神の日本宣教の時が迫っているのだ」と私は心が震える体験をしました。オリンピック伝道や10×10に対して心が折れかけていた私を、神様はそのようなことを通して励ましてくださったのでした。

そして、2019年ラグビーW杯が行われ、日本チームの活躍とともに、日本各地でたくさんの宣教活動がなされ、祝福の証しが届けられました。ラグビーW杯期間中、10ヶ国78名の宣教チームが来日し、12の開催都市でラグビー教室や文化交流会を開き、延べ12,000人の方々が参加してくださり、ラグビー選手の証しが載った13,000冊の聖書を配布しました。何より宣教チームの働きを通して、教会が地域社会や学校との良い懸け橋となることができました。

ジスプではラグビー担当が金子先生、オリンピック担当が私となっていましたので、2019年の祝福を受けて、否が応でも盛り上がっていきました。既にオリンピック期間中に日本宣教に来たいと訓練を受けている人が100チーム1000人はいましたので、その方々の受け入れ態勢を整えていました。しかしフタを開けてみると、みなさんご存じの通り、コロナウイルス感染拡大のために2020年のオリンピックは延期、2021年に開催されたオリンピック・パラリンピックは無観客開催となってしまいました。

ここまで祈って準備してきただけにがっかりしましたが、これも神様の御手の中にあると御心を求めて祈りました。そんな祈りの中で、マーティ宣教師の内に、オリンピック期間中の日本への宣教の扉は閉ざされてしまったけれど、天への窓は開いているから祈りのムーブメントを起こしたい、との願いが与えられ、100万時間祈祷を呼びかけることになりました。結果的にオリンピック・パラリンピック期間中、日本のための祈りに98ヶ国、11万人もの方が参加してくださり、36万時間もの祈りをささげることができました。世界各地から集中してこれだけの時間、日本のために祈られたことはかつてなかったのではないかと思います。

100万時間祈祷を準備する中で、10×10への応答としてアスリートチャーチの金さん一家は2年間の日本縦断宣教旅行の思いが与えられました。また4年毎にオリンピック開催都市に移り住んで、スポーツミニストリーの働きを助けているマーティ・ウッズ宣教師夫妻も、次の開催都市に引っ越さず10×10ビジョンのために日本に残る決心をしました。さらに彼らの10×10への応答をみて、自分にとっての10×10は何かと祈った結果、国政へのチャレンジが与えられた金子先生は、わずか3ヶ月の準備期間にもかかわらず参議院選挙に当選されました。金子先生が参議院で拉致問題を担当する委員会メンバーに選ばれたのにも神様の特別な導きを感じます。

このようなことを振り返ってみるときに、10×10は神のご計画であることを確信します。誰も思いもしなかったことが起きているからです。10×10は神のご計画であり、そのことを受け止めた人たちを友として、神様はそのご計画を語ってくださるのです。

10×10ビジョンが与えられた教会のメンバーとして、あなたにも神様は語りかけてくださっています。今年、あなたが遣わされる先にどのような困難があろうとも、神様はあなたとともにいて働いてくださいます。ともに神の語りかけに耳を傾け、砕かれた器となって、神の働きに携わる者へと変えていただきましょう。

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