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10月 巻頭言「日本のクリスチャン経営者たち」

毎日のみことば10月号巻頭言
主任牧師 池田恵賜

毎日のみことばのコラムを担当してくださっている山口陽一先生が『近代日本のクリスチャン経営者たち』をいのちのことば社から出版されました。これを読むと開国以来、実に多くのクリスチャン経営者が日本という国を築き上げてきたことが分かります。

今月号の先生のコラムと被ってしまいましたが、何人か紹介したいと思います。
グンゼの波多野鶴吉(1854-1918)は1890年に受洗。1896年に郡是製絲株式会社を創設。社長に就任すると社内教育にキリスト教を取り入れます。ライオンの小林富次郎(1852-1910)は、事業の失敗から死を決意しますが、ヘブル12章1節のみことばにより思いとどまり、歯磨き粉の製造販売を始めました。

渡米先で菓子の製法を習得した森永製菓の森永太一郎(1865-1937)は、帰国後キャンディやチョコレート類を販売するも、高温多湿の日本では商品が溶けて返品が続出。それらを新品と交換するという対応で信用を得ました。また、店員を家族のように大切にし、顧客の満足を優先するという企業理念を掲げて成長した新宿中村屋の相馬愛蔵(1870-1929)もいます。ちなみに相馬の玄孫は、サッカー日本代表の相馬勇紀だそうです。

その他にも、大同生命、ユニチカ、ニチメンの広岡浅子(1849-1919)。ノリタケの森村市左衛門(1839-1919)。カネボウの武藤山治(1867-1934)。クラボウ、クラレの大原孫三郎(1880-1943)。白洋舎の五十嵐健司(1877-1972)などが紹介されています。晩年になり洗礼を受けた人や、信仰から離れた経験を持つ人もいて、実業家の側面と信仰面との葛藤も描かれています。

この本では紹介されていませんが、ソニー創業者の井深大、森ビル創業者の森泰吉郎、パイオニア創業者の松本望、山崎製パンの飯島延浩、リンレイの竿代靖、ヤマト運輸の小倉昌夫などもクリスチャン経営者として有名です。

商売と信仰は両立しないと切り離して考えるクリスチャンもいるかもしれませんが、この本を読むと決してそんなことはないと思わされます。困難な状況に直面しながらも、それぞれが信仰に立って置かれた場所で誠実に、また創意工夫を凝らして事業に取り組んでいる様子をうかがい知ることができます。
また、そのような実業家たちが石井十次などに代表される様々な福祉事業を支えたということも大切な一面です。
経済界のみならず、教育界、福祉の分野、芸術の分野においても、初期のキリスト教は影響力を持っていたことが分かります。

かつて日本という国を良くしようと生き生きと活力を持って取り組むキリスト者がいました。21世紀の今、再びこの国のあらゆる分野で、みことばと信仰に立つ一人ひとりが輝いていけるようにと願います。

起きよ。輝け。まことに、あなたの光が来る。主の栄光があなたの上に輝く。見よ、闇が地をおおっている。暗黒が諸国の民を。しかし、あなたの上には主が輝き、主の栄光があなたの上に現れる。国々はあなたの光のうちを歩み、王たちはあなたの輝きに照らされて歩む。
イザヤ60:1〜3

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